科学の部屋

2)焙煎量変化とガス圧の関係
焙煎する豆の量を変えた時に当然、
ガス圧も変える必要があります。
ただし、ガス圧は豆量に比例してではなく、
ガス圧のルートを目安に変える必要があります。
例えば、豆の量が2倍だとガス圧は2倍ではなく、
1.4倍を目安にします。
(目安という意味はエネルギー損失も考慮して
微調整が必要だから)

これは流体力学のベルヌーイの定理をもとにしています。
「流体の圧力は流速の2乗に比例する」
逆に言えば、流速は圧力のルートに比例します。
ガスの流速が一定時間でのガス量ですので、
圧力のルートで考えるのが基本というわけです。
(ちなみにベルヌーイの定理は流体のエネルギー保存則を意味する)

以上




(1)氷はー80℃の水である
熱いコーヒーを氷にあててアイスコーヒーを作るときには、
どれくらい氷を解かすのでしょう?
例えば、80℃のお湯100ml(g)を0℃の氷にあてるとき
溶ける氷の量はいくらかという問題になります。

結論から言うと、
お湯と同じ質量の氷、すなわち100gの氷をすべて溶かして、
トータル200mlの冷水(0℃)ができます。

この疑問に答えるためには、
氷の「融解熱」と「比熱」について知っておく必要があります。
氷が解けて水になるときに必要な熱エネルギーを融解熱といいます。
また、1kgの水を1度上昇(もしくは下降)させるのに必要な熱量を水の比熱といいます。

氷の融解熱は、335kJ/kg
水の比熱は、4.2kJ/kg

では実際に問題を解いてみましょう。
質量Mwのお湯(水)の温度をTとすると、
0℃の氷が溶けて0℃の水になる質量Mxは、
エネルギーの保存則から次の式であらわされる。
335Mx=4.2Mw・T
∴Mx=4.2/335Mw・T
今回の条件は、T=80、Mw=100なので、
 Mx≒100
が得られる。

0℃より低い温度の氷の場合は、
氷の比熱=2.1kJ/kg(すなわち水の半分)なので、
例えば、-20℃の氷を0℃にするのはー10度の水を0℃にするのと同じこと。
すなわち、-20℃の氷は、-90℃の水だと思って扱えばよい!

当店では、-20~ー15℃の氷を使っており、
75℃くらいのホットコーヒーを急冷するので、
ホットコーヒーの湯量の概ね90%くらいの氷を解かして
アイスコーヒーの総量になるように作成しています。
したがって、S、M、Lとサイズ違いになっても
同じ濃度のアイスコーヒーになるように調整しています。

氷は水の約80倍の熱エネルギーを蓄えている優れものなのです。
比熱が80倍の物体、あるいは別の言い方をすれば、
「0℃の水は-80℃の水」とみなしておけば実用的です。

以上